集団訴訟がやってくる
「集団訴訟」……。
米国では「クラスアクション」という名で知られる。
たった1人の訴えであっても同じ被害者が多数になれば、賠償金額も莫大なものとなる。
今秋の臨時国会において日本でもこの「集団訴訟制度」に向けた法案が提出されようとしている。
個人が訴訟を起こせなかったり、対象となる請求が消費者契約のみだったり、米国のクラスアクションのようにならない仕組みが盛り込まれている。
しかし、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授によれば、中長期で見た場合、企業にとって最大で10兆円のコストが生じる可能性があるという。
忘れてならないのは、事業者の構成員1人ひとりもまた消費者であり、みだりな訴訟によって企業体力が消耗すれば日本社会全体にとってマイナスでしかないということだ。
消費者のより良い救済を目指すこの制度が、回りまわって消費者自身の懐を冷やす結果に陥っては本末転倒である。
※本書は月刊誌「WEDGE」2013年10月号の特集記事を編集し、電子化したものです。
◆消費者庁、消費者団体VS経済界 推進派と慎重派の埋まらない溝◆最大コスト10兆円!? 企業が打つべき対策 岩本 隆(慶應義塾大学大学院特任教授)
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