ひとりは軍人に。ひとりは利通暗殺へ。西郷の首を発見した男と、大久保利通を暗殺した男。2人の加賀藩士は、親友同士だった――。「維新」とは何だったのか?武士の世の終焉を活写した、ひたすらに熱く切ない本格歴史長篇!幕府を中心とした開国派と、長州藩を軸とした攘夷派に分かれ、激しい戦いが繰り広げられる幕末。百万石の雄藩・加賀藩は、中立的立場ながらも、藩内では二派の対立が激化していた。加賀藩士の島田一郎は尊王攘夷思想に憧れ、親友の千田文次郎は、一郎の情熱に煽られながらも自分を見失わないでいた。やがて一郎は反政府活動に傾倒し、武装蜂起を企てる。一方、文次郎は陸軍軍人となって西南戦争に参加し、薩摩軍が隠した西郷隆盛の首を発見する。それにより不平士族の絶望は頂点に達し、一郎らは大久保利通の暗殺を画策する……。幕末・明治という激動の時代に翻弄された二人の青年の友情と別離。圧巻の歴史長篇!「一つの時代が終わったのだ。もう武士の世には戻れぬ」文芸評論家・縄田一男氏、激賞!「完敗した。評論家の首を賭けるに足る傑作」 (「本の旅人」2017年10月号書評より)