「薄明の窓辺に置かれた言葉のジュエリー。エミリーの詩は読むたびに新しく誕生する。」――谷川俊太郎(帯のことば)英文の構造が変則的で、それゆえ訳すことが難しいといわれるエミリー・ディキンスンの1775編の詩のなかから、73編を選んで、7つのジャンルに分けて構成した。ディキンスンを愛してやまない詩人で翻訳家の内藤里永子氏が、「ディキンスンの詩に親しみをもってもらえるように」との願いを込めた渾身の訳。内藤氏は『まぶしい庭へ』(ディキンスンの詩にターシャ・テューダーがイラストをつけた絵本)を訳し、好評を博した。7つのジャンル分けは以下のとおり。1、わたしは名前がない。あなたはだれ? (日々の暮らしを宇宙のものとともに)2、ほんとうに目が見えなくなってしまう前に (心の目で見て、心の耳で聴く)3、魂には逃亡を企てる時がある (舞い踊る衝動、噴火を秘めたエネルギー)4、自分自身を信じるの! 神秘を信じるの! (詩人の姿のあらわれ)5、朝がドアを叩いた、別れのとき。どちらももう強くはなかった (いのちの真紅の多量のしたたり)6、あのような方も死ぬ、ということが わたしの死を穏やかにする (死の眠りと別れ)7、「希望」は背中に翼をつけている (癒しのことば)