日本からはるか離れた南の島国。その沖合には、おれの祖父と、祖父の乗っていた奇妙な戦艦‘和泉’が眠っている。おれたちは‘和泉’引き揚げ作業の見学にやってきた。浅黒く日焼けした少女、キキは海上基地で働いていた。キキたちと過ごす、南国での穏やかな日々。だが、おれたちは知らなかったのだ。謎の美女たちが、おれたちの持っているあるものを狙っていることを。そして、そのあるものが、目の前に沈む戦艦と重要なつながりを持っていることを。執拗にくり返される襲撃。友の裏切り。そして、50年前に封印された謎の装置。やがて、キキとおれの血に秘められた真実が明らかになる―。新鋭、秋口ぎぐるが涼やかな筆致で描く、時空を超えたファンタジー登場。