ある雑誌に発表された「詰まない犯罪」は奇妙な小説だった。一組の男女がマンションの一室で殺される話だが、それが3年前に起こった事件と酷似している。しかも実際の事件は‘互殺’として処理されているのに、小説の方には真犯人がいた。そして3年前の事件の渦中の女性と友人であり、この小説に異常な興味を持っていた和子は、自動車に轢き逃げされ死亡した。和子のいとこの逸平は、轢き逃げ事件のあまりのタイミングのよさに疑問を抱き、生前の和子の足どりを追う。実は、和子が相当深く事件に介入していた事実が明らかになった。もしかするとあの事故も裏で誰かが……。筑波耕一郎が放つ長編ミステリー。