美術館の学芸員・高桐布結子は、美術界から抹殺された天才画家・柾木ススムの絵をきっかけに、年若いジャズトランペッター・佐久間檀と出逢う。男と女、絵画と音楽。互いに心を触発し、愛と快楽が交差する芳醇な時間が二人の間に生み出されるのだが…。大人の愛とその切なさを清冽な筆致で謳う、純愛小説。●斎藤純(さいとう・じゅん)小説家。1957年、盛岡市生まれ。FM岩手在職中の1988年『テニス、そして殺人者のタンゴ』でデビュー。1994年『ル・ジタン』で第47回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『銀輪の覇者』(早川ミステリ文庫)が「このミステリーがすごい!」のベスト5に選出される。岩手町立石神の丘美術館芸術監督、岩手県立図書館運営協議委員などをつとめている。