壁の花になって途方に暮れていた私を救ったのはあなた――。ビクトリア時代を舞台に繰り広げられる可憐な恋の物語。社交界にデビューして2年めを迎えた子爵家の令嬢クレアにとって、今夜の盛大な舞踏会は大切な催しだった。優雅にワルツを踊り、今度こそ理想の花婿候補に見初められるのだ。冷え冷えとした屋敷で問題だらけの家族と暮らすクレアには、結婚はただひとつの希望だ。しかしクレアは昼間の散歩中に足をくじいて、歩くのもやっとになってしまう。ワルツなど踊れるはずもなく、みじめな気持ちで部屋の片隅にぽつりとたたずんでいると、見覚えのない容姿端麗な男性が声をかけてきた。熱く真摯なまなざしにクレアの胸は高鳴ったが……。■NYタイムズ、USAトゥデイベストセラー作家の日本デビュー作品をお届け! ビクトリア時代を舞台にした華やかなヒストリカル・ロマンスになります。子爵令嬢であるヒロインは結婚を夢見ていますが、ヒロインを取り巻く上流階級は、よりよい結婚相手をゲットしようと足の引っ張り合い、陰口の渦。いつの世も女性同士のいじわるは変わらず、浮かないように時には頭が空っぽのふりまでするヒロインの姿には共感する人も多いのでは。そして読みどころは、もちろん恋の行方。ヒロインは舞踏会の壁の花となったときに、謎めいたヒーローと出会います。互いに惹かれ合いながらも決して結ばれる運命にないふたり。距離を置こうとするさまは「切ない!」の一言。もどかしくもキュンとするロマンスをご堪能ください。