世界で一番美しい、究極の遠距離恋愛を描く。『桜の花びら集めてみませんか?』大学四年生の春、就職試験に全滅した日向(ひなた)は、友人から不思議なアルバイトを紹介される。怪しいと思いつつも、彼はそこで出逢った依頼主・雫(しずく)に一目惚れをする。彼女がくれた「ありがとう」という言葉は、希望をなくしていた日向の心を鮮やかな色に染めた。自分も誰かに「ありがとう」と言われる仕事がしたい。彼女に振り向いてもらいたい。その思いを胸に、日向は新たな一歩を踏み出した。しかし雫には、大きな大きな秘密があった……。「本当のわたしを知ったら、きっと好きじゃいられないよ。わたしね、一年でたった七日間しか起きていられないの」雫は一年のほとんどを眠り続けるという不思議な体質の持ち主だったのだ。彼女に逢えるのは夏のほんの一週間だけ。その事実に動揺を隠せない日向。夢の中じゃメールも電話もできない。逢いたくても逢えない。声だって聞くこともできないんだ。そんな女の子と恋なんて絶対にできっこない。この恋は、夢と現実の遠距離恋愛なんだ……。どんな国よりずっと遠くて、どんな時差よりずっと永い、究極の遠距離恋愛の物語――。