本書は、『とっても小さな九つの国』という三部作の最後の物語になります。第一部『フックフックのエビネルさんとトッカトッカのカニエスさん』や第二部『ルルルとリリリ』の登場人物ほとんどがまだ生まれていない時代です。 ですから、本書だけでもお楽しみ頂けますが、もし第一部から通して読むと、よりいっそう楽しめると思います。(第一部) ある日、エックエックの王様が、おふれを出しました。《世界で一番勇気のある若者を、美しい姫のむことして迎える》というのです。フックフックの国のエビネルさんとトッカトッカののカニエスさんは、それぞれ別の理由で、勇気を手に入れるための旅に出ました。 二人は冒険の末、誰もが考えるようなものとは少し違う《勇気》を手に入れました。でも結局二人とも、お姫様のおむこになることはありませんでした。それがどうしてだったのかは、本編をお読みくださいね。 (第二部) エビネルさんたちが旅の途中で出会い、冒険を共にしたのがルルルとリリリ。 冒険の旅から帰って五年、平和な暮らしが続いていると思ったのに、モースモースの国には恐ろしい大蛇が、プーレプーレの海には化け物イカが再び現われました。二人はそれぞれに考え、行動を始めます。 そして二人は知るのです。化け物は、実は化け物なんかではなかったことを! 第三部の本書では時を遡り、そのわがままを懲らしめられた王様の父親であるニーダマと、北の魔女ローズンの物語を追います。守り神であるはずの大蛇が、どうして人間の子供たちをさらうようになってしまったのでしょうか。 楽しいだけでなく、少し怖くてとても悲しいお話です──。