【ルポ・エッセイ・自叙伝】タグのライトノベル・小説
ブルースに登場する人々は、その後どんな人生を送ったのだろう。かつて高級で輝かしく特別だった「ケーキ」という単語は、「ケーキバイキング」に安住の地を得た。「青春」を本気で直訳すると「ブルー・スプリング」になるのか。そして珈琲はいまや「珈琲」のひと言では頼めない……新しい日本語、懐かしい英語。それらをつなぐ、カタカナ語。絶え間なく生まれ、変化し続ける言葉たちに驚いたり、楽しんだり、考えこんだり、時々ちょっぴりぼやいたり。「サンデー毎日」連載に書き下ろしを加えた全88編を所収、著者の新鮮な驚きと発見に満ちたエッセイ集が、ノスタルジックなビニールカバーの装幀で登場。
本年度「短歌研究賞」受賞作(二十首)佐伯裕子「今日の居場所」本年度「短歌研究新人賞」受賞作(三十首)「窓も天命」(受賞者・塚田千束)東直子の「楽歌* 楽座」第3回 俳句de短歌(前篇)(ゲスト=堂園昌彦・工藤玲音)連続企画・篠弘インタビュー(第3回)「戦中歌人の抵抗―坪野哲久、二・二六事件、川田順」 作品連載 三十首=富田睦子「風に踊れる」(第一回)/千種創 一「晩安、親愛的」(第一回)/小坂井大輔「Kozakaism」(第一回)/小佐野 彈「リーシュを外せ 銀河一族VIII」 (最終回)/短歌研究新人賞・過去受賞者45人の新作3首とエッセイ「あの日」第21回(昭和53年)〜第41回(平成10年)井辻朱美/阿木津英/中山明/奈賀美和子/大塚寅彦/武下奈々子/小笠原和幸/池田はるみ/加藤治郎/荻原裕幸/黒木三千代/藤原龍一郎/西田政史/尾崎まゆみ/野樹かずみ/寺井淳/小泉史昭/松村由利子/尾形平八郎/田中槐/横山未来子/千葉聡/第43回(平成12年)〜第 63回(令和2年)紺野万里/小川真理子/八木博信/嵯峨直樹/奥田亡羊/野口あや子/吉岡太朗/田口綾子/やすたけまり/吉田竜宇/山崎聡子/馬場めぐみ/鈴木博太/山木礼子/石井僚一/遠野真/武田穂佳/小佐野彈/工藤吉生/川谷ふじの/郡司和斗/中野霞/平出奔/連載小島ゆかり サイレントニャー 〜猫たちの歌物語4〜吉川宏志 1970年代短歌史4佐藤弓生・千葉 聡 人生処方歌集 32安田登 詩に興り、礼に立ち、楽に成る――能楽師の勝手がたり1工藤吉生 Twitterで短歌さがします4短歌時評=平出 奔「広い地平・特集という道しる」最近刊歌集・歌書評・共選=大沢優子/貝澤駿一 水原紫苑選 短歌研究詠草特選=内藤英雄準特選=村上秀夫/山崎公俊/小林菫子/松浦和男/古河知尋/しおせとくや/井上政彦/瑞慶村悦子/ひびの祈り/石田郁男/東方健太郎/渡辺なおみ/阿久津千津子/中沢久子/枝豆みどり/大友圓吉
漫画家の田房永子氏が、突然キレる自分を描いて反響を呼んだ『キレる私をやめたい』。キレるのをやめられたきっかけが「ゲシュタルトセラピー」との出合いでした。本書ではこのセラピーの第一人者・岡田法悦先生が、’家で一人でできる’極意を紹介します。
写真の魅力は瞬間の保存だけではない。建築写真で著名な写真家がピンホール写真と徳之島撮影を通じて感じた時間/写真表現の最新論。
本書を老若男女問わない作品とする目的でカタオカマユミが日常の印象深い出来事を、何とは無しに著述することから始まる。太宰治の「右大臣実朝」を基として、源氏一族の機微に触れ、深い闇に包まれた同族同士の殺人事件を解き明かす。そして最後には、織田信長の「本能寺の変」の真相究明に挑む。本書の見どころは、・源頼朝は、妻の政子に殺された・源実朝は死刑・織田信長は、徳川幕府創設の目的で殺された一等々歴史を変える、カタオカマユミの情景描写である。
恐怖と表裏をなしている幼年時代の性の記憶、羞恥に彩られた少年期の性の意識……京都の三高に入学した私は、倉田百三の「出家とその弟子」の恋愛観、ひいては親鸞の「歎異鈔」の倫理観によって、新しい精神の世界にめざめていった。性には罪悪感がつきまとう。私には愛を伴わない情慾は考えられない。東大に進学した年、六本木のカフェで女給の柳とく子に逢ったとき、私は「ここに私の妻がいた」と直感する。彼女と旅に出た私は、宿では手を握り合って寝たが、帰京した夜、彼女の下宿で初めて烈しい性衝動に襲われ……。晩年までの性中心の自伝で、絶筆となった長篇。
ヘタウマ漫画家の本音がポロリほんわか脱力エッセイ後期高齢者の仲間入りを目前にして、まさかの認知症が発覚したエビスさん。昭和、平成、令和を自由気ままに生きてきた、ひとりぼっちの達人にしてヘタウマ漫画の第一人者・蛭子能収さんの迷言至言が詰まった最新マンガエッセイ!
台所からきこえてくる音に病床から耳を澄ますうち、料理人の佐吉は妻のたてる音が変わったことに気付く。日々の暮らしを充たす音を介して通じ合う夫婦の様を描く「台所のおと」のほか、「濃紺」「草履」「雪もち」「食欲」「祝辞」「呼ばれる」「おきみやげ」「ひとり暮し」「あとでの話」を収録。鋭く繊細な感性が紡ぐ名作集。なにげない日々の暮しに耳を澄ませ、目を配り、心を傾ける。透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集。女はそれぞれ音をもっているとかくあやふやに流しがちな薄曇りの感情に端然とした言葉をあてがい、作中人物に息を吹き込む。幸田文による人間観察の手つきについて考えていると、江戸川乱歩とのある対話が脳裏に浮かんできた。――平松洋子(解説より) 新装版に寄せて、青木奈緒によるエッセイも収録
『九十歳。何がめでたい』の待望の続刊! 2016年に発売した『九十歳。何がめでたい』は2017年の年間ベストセラー総合ランキング第1位になり、現在までに130万部を超えるベストセラーになりました。 本作は、あれから5年、時は平成から令和にうつり、今秋98歳になる佐藤愛子さんが断筆宣言をした「さようなら、みなさん」を収録する「最後のエッセイ集」となります。 タイトルは、1969年に発売され直木賞受賞作となった佐藤さんの小説『戦いすんで日が暮れて』の本歌取り。夫が作った莫大な借金をひとり背負い込んで奮闘する妻(=佐藤さん)の姿を活写し、愛子センセイが世に出るきっかけになった代表作のひとつです。 それから52年、自身の最後となる本エッセイ集のタイトルに『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』と付けたのは、借金は返済したけれど、人生の戦いはやまず、今も日も暮れていない――。愛子センセイが97年を生きて来た人生の実感です。愛子センセイがヘトヘトになりながら綴った、抱腹絶倒のエッセイ全21編をぜひご堪能ください。(底本 2021年8月発行作品)
アメリカの辺境を旅して、その土地の先住民、労働者、美術館学芸員など出会った人々を通して社会の格差と分断を考察した記録文学。
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり神田川祭りの中をながれけりなにがうそでなにがほんとの寒さかな小説家・劇作家として大成した万太郎は、10代より亡くなる直前まで、俳句を作り続けた「文人俳句」の代表的俳人でもあった。本書は、万太郎が創刊・主宰した俳誌「春燈」の継承者が、その俳句の魅力と技術、交友関係までを哀惜と畏敬の念を込めて綴った名著であり、万太郎俳句のすぐれた入門書でもある。俳人協会評論賞受賞作。
俺たちはどう死ぬのか? 数えきれぬ患者を診察した元・産婦人科医の精神科医と、数えきれぬ短歌を日々読み続ける歌人。万巻の書物を読んだ二人が、大きなモニターとソファのある精神科医の自宅で、猫を相手に語り尽くす、今考えられるもっとも考えなければならない死と生についてのすべてのこと。【目次】序 章 俺たちはどう死ぬのか?第1章 俺たちは死をどのように経験するのか?第2章 俺たちは「死に方」に何を見るのか?第3章 俺たちは「自殺」に何を見るのか?第4章 俺たちは死を前に後悔するのか?第5章 俺たちは死にどう備えるのか?第6章 俺たちは「晩節」を汚すのか?第7章 俺たちは「変化」を恐れずに死ねるのか?第8章 俺たちは死を前に「わだかまり」から逃げられるのか?第9章 俺たちは「死後の世界」に何を見るのか?第10章 俺たちにとって死は「救い」になるのか?第11章 俺たちは「他人の死」に何を見るのか?第12章 俺たちは「動物の死」に何を見るのか?第13章 俺たちは一生の大半を費やすことになる「仕事」に何を見るか?終 章 俺たちは、死にどんな「幸福」の形を見るか?
「’女の子らしく’の呪いを解くことができるのは、’自分らしく’しかないのだから」(「ライク・ア・ガール」より)。だけど世の中、自分らしくあろうとするだけで、なにかと闘うことになる。年齢、結婚、ファッション、女ともだち――いつの間にか自分を縛っている女性たちの日々の葛藤を、短編とスケッチ、そしてエッセイで思索する34編。
90代で綴った『九十歳。何がめでたい』がミリオンセラーとなって、ますます注目を集める97歳の人気作家・佐藤愛子さんが、中学生からシルバーまであらゆる世代の「悩み」に答える、愉快痛快な人生問答エッセイ! 二度の結婚と離婚、莫大な借金など波瀾万丈の人生をくぐり抜けてきた作家ならではの、人間への深い考察とユーモアにあふれた回答は読みごたえたっぷり。どんな悩みもたちまち吹き飛ぶ一冊です!
島田雅彦氏重松清氏吉田修一氏などなど、常連作家たちの特別寄稿、収録!銀座で43年続く老舗文壇バーのママが語る作家と酒!マナーを心得た粋人が集まる銀座で起きた、数々の伝説―― 野坂昭如、丸谷才一、半藤一利…などの武勇伝もたっぷり。数々の文壇シーンを見てきたママが語る作家と酒と涙と笑い。読むほどに酒がすすむ極上エッセイ!*電子版では、内容の一部を収録しておりません。
「ある日、突然母が言った。『毎日のお洋服を考えるのが面倒になっちゃった』――魔女の宅急便の著者である角野栄子が、80歳を過ぎた頃のこと。そこで娘の私が、母の洋服をコーディネートすることになった」こんな年の取り方をしたい、と誰もが憧れる美しい86歳。角野栄子スタイルは、こうして作られました。その実例を著者自らが大公開!シニア向けの既製品は老けた色とデザインばかり、と感じる母世代のあなたへ。母親の地味なファッションに、自分の未来が不安になった大人女子のあなたへ。問題はすべてこの1冊で解消。気持ちが前向きになる色合わせ。安全で動きやすく、機能的なデザイン。本当に必要な服なのに、こんなに可愛いのはなぜ? 「白ワンピースはレフ板。光で気になる顔のシミやシワを飛ばしてくれる」「赤やオレンジを身に着けるだけでオシャレに見える。シニア世代はおトク!」「老けて見えがちな茶色やグレーも、素敵に着こなす方法はある」ちょっとしたコツで、きれいな色合わせは簡単にできます。オールカラーのイラストと写真でわかりやすく、思わずマネしたくなる魔法のコーディネートがいっぱい!母娘一緒に実践しましょう。これは、大人になった娘と母のためのファッション・ブック!「だって、母親が美しくなれば、娘である自分の未来も美しくなるってことでしょ」
心が折れたり、ズタズタになった人へ忘れないで、僕らはけっこうカッコいいよ。韓国発!ゆっくり、じっくり、’自分らしく’生きるための手引書【本書より】’ああ……なんでもっと早く逃げなかったんだ……’「僕は20代までは、明日のことなど考えず一瞬一瞬に自分の持てるすべてを注いで燃焼させる、超新星のような生き方に憧れた。しかしいまは、ゆっくりでも自分の時間をじっくり積み上げていくほうがずっとカッコいい生き方なのではないかと思うようになった。だから今後は、魂を枯渇させる状況はできるだけ避けようと思う。そうはいってもやむを得ないこともあるだろうけど、それでも死力を尽くして逃げてやる。
榎本健一がくれたキューピー人形や、高倉健と江利チエミの結婚式の写真、さらには東郷青児が描いてくれた似顔絵まで……。女優の中村メイコさんの家には、数々の「宝物」があった。しかし79歳の時、決断した。大切なモノを捨てよう──。過去にとらわれる気持ちを断ち切らないかぎり、人生の最後を軽やかに生きることはできない。まず宝物を手放したメイコさんは、洋服や食器も次々に捨てはじめ、最終的にトラック7台分のモノを手放した。モノを捨てるのは、誰だって寂しい。思い出が詰まった宝物ならなおさらだ。「断捨離」が世間でどれだけ流行っていたとしても、気が進まない人も多いはずだ。メイコさんがたどり着いた結論は、「モノにはお別れ時」があるというもの。悲しいけれど、どんなモノでも天国に持っていくことはできない。だから、「仕方ないわね」と受け入れて、さよならをする。’19年には骨折と入院を経験し、コロナ禍で女優業も思い通りにならない。そんななかでも明るく生きる喜劇役者が語る「生きるヒント」
わたし、たぶん88歳。毎日、こんなふう。いつだって一所懸命――認知症の義母をお世話した体験から生まれた心温まる絵本。 わたしゃ これからも 天からのお迎えが来るまでまだまだ世間様に お世話になります助けてもらわにゃ たのみますよ(本文より)
僕が旅立ちたいわけは、だがあんまり災難が多いからだ――上海、マレー半島、インドネシア、パリ。『マレー蘭印紀行』『どくろ杯』等にも綴られた詩人と妻の計画も希望もない四年に及ぶ放浪の旅を、本人たちへのインタビュー、その旅に魅せられた21人のエッセイで辿る。全集月報ほか単行本未収録作品多数。文庫オリジナル(目次より)I 金子光晴、旅を語る 不穏な漂泊者(聞き手:開高健) 人生五十年、あとは急降下(対談:寺山修司)II 金子光晴の周辺 (森三千代/聞き手:松本亮)III 金子光晴と私 『マレー蘭印紀行』『詩人』『新雑事秘辛』(松本亮) 『どくろ杯』『ねむれ巴里』『西ひがし』(秋山清) 光晴夫妻と巴里での出会い(永瀬義郎) 金子光晴の「時間」(阿部良雄) あくび(茨木のり子) 金子光晴について(吉本隆明) 悪友金子光晴と私(中西悟堂) 詩の蘇生に向かう放浪のヴェクトル(清岡卓行) 「生きている」流浪者の眼(窪田般彌) 怪物が死んだ(草野心平) 地獄の見世物としてのパリ(田村隆一)IV 金子光晴を旅する 螢の樹(奥本大三郎) 空白の海を越えて(小林紀晴) 金子光晴と森三千代を知らない(島尾伸三) 金子光晴(福田和也) 暇と求婚(角田光代) 「自由な関係」を探しに(山崎ナオコーラ) 私がいちばん読み返した本(高野秀行) 旅の混沌(沢木耕太郎)
『五十八歳、山の家で猫と暮らす』で随所に登場した、かわいいけど、気まぐれなキジ白仔猫の〈ドレミ〉。??ドレミの目を通した、人間との生活、自然とのかかわり、二人暮らしの毎日を丁寧に描くイラストエッセイ。 わたしの名前はドレミ。この夏で五つになるキジ白猫です。 三週間前からエリーと一緒に住んでます。 それまでは、東京のリリーさんのところで可愛がってもらってました。 リリーさんのおうちには仲間がたくさんいて、いつも一緒に遊んでもらってた。 そして夏の終わりのある日、わたしはエリーのところへやってきたっていうわけ。 一人暮らしのエリーのところに来たので、今は母一人子一人って感じ。 ――本文より賢いけど怖がりで、自分勝手だけど寂しがり屋で……。猫の目から、世界はどんなふうに見えるんだろ?猫の気持ちは、猫にしかわからない?【目次】■ わたしはドレミと申します■ 大寒の朝■ 日めくり■ 朝のブラシ■ 体重測定■ ごはん■ おやつ■ 怖い顔■ 期待には応えない■ 回覧板の手さげ■ わたしの寝場所■ 眠り猫■ わたしのトイレ■ お引っ越し■ お客さん■ 雪■ エレガントな足取りで■ プレイ■ たかいたかい■ 京壁のキズ■ キーボード■ テンブクロ■ 脱走■ プリンセス天功事件■ ムンちゃん■ お医者さん■ 包帯服■ お留守番■ 夢中なエリー■ 不思議なソファー■ シッポでお返事■ 待ってなんかないもん■飼い主のつぶやき ? ブラシ ? 呼ばれても ? メインクーン ? 瞳でアッピール ? 猫激突 ? 小鳥狙い ? 自分で快適に ? だんだん声が小さくなる ? 邪魔することが生きがいさ■ 飼い主日記■ 飼い主によるあとがき
家族に白い目で見られながらも庭の片隅で細々と続ける長年の趣味、家庭菜園。小さな戦場で季節ごとの一喜一憂を綴った爆笑奮闘記。書き下ろし、直筆イラストも多数収録。直木賞受賞時も絶賛された軽快な文章とユーモアで、著者の素顔(時々毒づきオヤジ)が垣間見える、愉快痛快エッセー集。
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。売れないイラスト稼業の「ぼく」は、妙におじいちゃん顔の子ねこを拾う。一方の「ねこ」は、なぜかよくカリフォルニアのビーチを思い出していて……。ぼくとねこ。ともに暮らしていても、見ている世界はこんなにちがう? ささやかな日常におきたドラマの数々が、色鮮やかな絵日記でよみがえる。イラストレーター・北澤平祐とブックデザイナー・名久井直子がタッグを組み、かわいいこだわりをたっぷり詰め込んだ贅沢な1冊。
《荷物 一個 内容 死体》トルストイの遺体にひっそりと付けられた荷札をめぐる随想。信長暗殺に臨んで御神籤を三回引いた明智光秀の心中劇とマクベスの葛藤の姿。そしてエイズについての率直な発言。創作の為に書き留められた日記とメモと紀行文からは、記録を超えた玄妙な香りさえ立ち昇る。イメージの飛躍としたたかな小説構造を両立させた清張文学を読み解く最後の記録作品。
水原紫苑責任編集「女性が作る短歌研究」【水原紫苑責任編集・特別増大号】現代の「女性」と「ジェンダー」をテーマに、歌人たちが集結して、雑誌を作りました。「女性が作る短歌研究」と題し、「責任編集」は女性歌人・水原紫苑。すべて「女性の視点」で創作・評論・対談を構成しています。外部の歌人に編集長を委ねるのは、創刊90年目で初です。言葉をなによりも大切にしてきた歌人たちは、「女性」「ジェンダー」について、なにを語るのでしょうか。大森静佳、小島なおの新作100首連作を筆頭に、短歌の現在を代表する女性歌人たちが集結して、書き下ろし新作を掲載! 新作100首=大森静佳「ムッシュ・ド・パリ」小島なお「両手をあげて、夏へ」(対談)田中優子(前法政大学総長)と川野里子(司会=水原紫苑)「女性たちが持つ言葉」馬場あき子と水原紫苑(司会=村上湛)「歌と芸」(寄稿)阿木津英「『ジェンダー』という語の出現と女性の歌」黒瀬珂瀾「短歌と僕の生/性について」石川美南「侵される身体と抗うわたしについて」川野芽生「夢という刃 ―『幻想と人間』考」今野寿美「森鴎外とジェンダー母という円環の外に出なかった人」瀬戸夏子「名誉男性だから」平岡直子「『恋の歌』という装置」堀田季何「世界文学としての短歌の可能性」松平盟子「『パリイ』との遭遇、与謝野晶子の場合」米川千嘉子「岡本かの子の〈女性〉の逆転と拡張」(作品)50首=紀野恵「長恨歌」水原紫苑「片足立ちのたましひ」30首=大滝和子「母と素粒子」10首=飯田有子「月と女」井辻朱美「リフレン、リフレン」井上法子「花・野原・魚の腹」梅内美華子「むらさきの海」江戸雪「アップデート」大口玲子「二人称」尾崎まゆみ「花の企み」帷子つらね「シャドーロール」北山あさひ「変身」小池純代「十韻」榊原紘「Geschichte」笹原玉子「いつまであをい」佐藤弓生「はなばなに」高木佳子「雨と白雷」田口綾子「馬前に死す」田宮智美「花降る」道券はな「退路」戸田響子「存在しない音が聞こえる」富田睦子「ゆうがたの風」永田紅「うすめる」野口あや子「二盃口」花山周子「そらみみ」早坂類「その後の僕ら」林あまり「夏の嘘」松村由利子「夜が明ける前に」睦月都「真夜中の偏食家たち」盛田志保子「狼煙」山木礼子「甘夏」山崎聡子「メルヘンと慰霊塔」○第九回 中城ふみ子賞発表受賞作 石井幸子「さをりの空」(五十首)次席=鈴木照夫「海猫さわぐ」(二十五首)次席=本条恵「新しい島」(二十五首)佳作=大黒千加「荒川を越ゆ」佳作=川崎岳史「日本の遊び」選考委員講評=永田和宏/池田はるみ/時田則雄○新連載東直子の「楽歌* 楽座」――第2回 一語摘み(後篇)(ゲスト=大塚寅彦・上澄 眠)○連載吉川宏志「1970年代短歌史3」小島ゆかり「サイレントニャー 猫たちの歌物語#3」佐藤弓生・千葉 聡「人生処方歌集 31」工藤吉生「Twitterで短歌さがします3」○作品季評第119回・後半栗木京子(コーディネーター)/松村由利子/土岐友浩(取り上げた作品=寺井龍哉「渋谷春愁」│柳澤美晴「石鹸まみれの星」│平井弘歌集『遣らず』)○短歌研究詠草 永田和宏 選特選=太田宣子準特選=瑞慶村悦子/上野博子/村上秀夫/中村 佳/熊谷 純/ひびの祈り/岡野はるみ/田中康子/鯨岡雄治/榎本麻央/大塚 浩/青山奈未/林 もと子/望月公子/後藤幸雄/浅野祐之
突如文壇から姿を消した小説家は、戦後、サボテンの栽培研究で知られるようになる。サボテンを通じた「荒涼の美学」や科学観を精選。
ロングセラー『育児の百科』で知られる小児科医が、人間らしい社会の実現と生きることの意味を追い求める中で見出した様々な命の姿。
日本中の庭園を実測調査し、大著『日本庭園史大系』を編纂した一方、東福寺方丈庭園などの名庭を作り上げた「永遠のモダン」の求道者が語る、庭を作る楽しみ、観る楽しみ。
『どくとるマンボウ航海記』前夜。慶應病院神経科に勤める若きマンボウ氏は、愛すべき患者たちとふれあい、変人ぞろいの同僚と安酒をあおりつつ、人間の本質に思いをはせる――。ユーモラスな筆致のうちに、作家・北杜夫の鋭い観察眼と深い内省が窺えるエッセイ。新たに武田泰淳との対談「文学と狂気」を増補。〈解説〉なだいなだ目次第1章 大遅刻と教授からしておかしいこと第2章 医局員のほとんどが変っていること第3章 フレッシュマンの生活とイカモノ食いのこと第4章 朝寝坊の万年おじさんのこと第5章 宇宙精神医学研究室のこと第6章 精神科医一刀斎のこと第7章 医局長の子分役のこと第8章 留学を思いたつこと第9章 山梨県の病院へ売りとばされたこと第10章 助人ついに来たる第11章 愉しい日々と悲惨な夜第12章 東京へ帰ったことと航海のことあとがき解説 なだ いなだ対談 文学と狂気 武田泰淳・北杜夫
「若い医者と軍人の結合体にとって、詩と死はただの同音ではなかった」(谷川雁)医師で詩人の著者は臨時召集を受け、軍医少尉として出征。北ビルマの最前線ミイトキーナでは、司令官・水上源蔵少将に対し死守が命じられるが、少将は残存将兵への転身命令を発したのち自決。部隊は全滅を免れるも、その後は「中国の雲南からビルマをよぎって、タイのチェンマイまでの泥まみれの敗退」となった……。壮絶を極めた南方戦線から奇跡的に生還した著者は、その記憶を書き残す決意を固めるには四半世紀の時間を要したと述懐している。一九六九年夏に西日本新聞に連載した「月白の道」は、2000キロの敗走を綴った戦場の記録である。第一篇には、「私たちはおたがいに心の虫歯をもっていたほうがよい。…でないと、忘却というあの便利な力をかりて、微温的なその日ぐらしのなかに、ともすれば安住してしまうのだ」とある。声高に叫ぶのではなく感情を抑えたさざ波のような断章が連なり、野呂邦暢や川崎洋らが賞賛する詩的な香りの漂う孤高の戦記文学となった。都合三度刊行された『月白の道』の「序」「あとがき」に加え、二度目の刊行時に書き加えられた後日譚とも言うべき「南の細道」、文藝春秋に寄稿した「軍神を返上した水上少将」、および、私家版『定本 丸山豊全散文集』から戦争・戦友に関する一〇篇を収録した、戦争散文の集大成。さらに、谷川雁の追悼文、野呂邦暢、川崎洋、森崎和江のエッセイ、映像制作者・木村栄文の「『月白の道』に寄せて」を収録。