歴史小説家・伊東潤の新境地、社会派ミステリー『横浜1963』戦後とは何だったのか。その答えは1963年の、日本と米国が混在する街 横浜にあった。東京オリンピック開催を来年に控え、明るい未来を夢見る日本。だが、米国との見えない壁が未だに存在していた。戦後昭和の横浜から、日本の影に焦点を当て、今日へも続く日米関係の始まりの構造を描く。物語は、長崎・佐世保と横浜の2つの殺人事件から始まる。遺体の腹は、いずれもネイビーナイフで切り裂かれていた。米兵による犯行の可能性が漂い、事件に深入りしたくないと及び腰になる神奈川県警は、「白人にしか見えないハーフの日本人」外事課のソニー沢田に捜査の任務を与える。次第に捜査にのめり込んでいくソニーは、米軍の協力を仰ぎ、日系アメリカ人SP ショーン坂口と出会う。運命とも言える出会いを果たした2人が、日米の壁を乗り越え、事件の真相に迫っていく。待ち受ける結末に、2人は、そして1963年に誘われたあなたは、何を見つけ、何を思うのか…