何気なく参加したオープンキャンパス――K大学応用生物学部。幹細胞を心筋細胞に分化させるための試薬の開発を行う研究室で大学院生の志賀賢人と出会い、仁科翔の人生は一変した。シャーレの中で拍動する細胞。怜悧な容貌の志賀、そしてその研究への姿勢。この人と一緒に研究がしたい!…すっかり魅了されK大学への受験を決めた仁科。それから四年。苦労の末、念願の研究室に入ることが叶った仁科は、30前の若さで准教授となった志賀のたった一人の助手として、容赦ない指導を受けることに…。昼も夜も休日すらもない培養実験と研究の日々。そんなある日のこと。志賀が突然言い出した一つの『実験』。それは「男は、自分よりもはるかに男らしく尊敬できる存在を見つけたとき恋愛感情を抱くようになる」というデータの検証だった。被検体となった仁科。志賀は「抱かれたくなったらいつでも言えよ」と宣言するが…。