よりよい遺伝子を残そうとWGO(世界遺伝子機構日本事務局)が『運命の番』をマッチングできるようになって十年。中学時代のオメガ差別がきっかけで引きこもりになってしまった大里彰のもとに、「私が君の運命の番です」とゲノム証明書とともにやってきたのは、イケメン・アルファのWGOエージェント、堺宗一郎だった。宗一郎は己の立場を利用し、マッチングが正式に執行される前にやってきたのだという。目的はもちろん、番である彰の社会復帰支援。こうして押しかけ女房と化した宗一郎によって彰は就職活動の手助けを受け、少しずつまっとうな人間になり始める。そんなある日、急な発情に見舞われた彰は本能のままに宗一郎に抱かれてしまった。以来、情熱的な夜を分かち合う二人だったが、不思議なことに、宗一郎は『愛咬』の儀式をしない。それに『運命の番』特有の強烈なフェロモンが感じられないのだ。それからまもなく彰は思いがけない真相を知ることに…。