子供を手に入れたい彼にとって、わたしは元妻の‘代用品’……。リリーは学生のころ、不妊クリニックへの卵子提供の報酬により、高額な学費ローンを返済することができた。無事に卒業を果たし、夢だった看護師となった彼女のもとに、ある問題を抱えた医師カーターが現れる。「君の卵子のことで話がある」聞けば、彼の精子と彼女の卵子を使った受精卵が取り違えられ、現在妊娠中の女性と話し合いをすることにしたらしい。彼は自分の遺伝子を受け継ぐ子供をぜひ手に入れたいと、今は別れた元妻に代わり、リリーに口添えしてほしいというのだ。出会った瞬間からカーターの虜になっていた彼女はみずからを戒めた。彼はわたしを都合よく利用したいだけ。恋心なんて抱いてはだめよ。■涙なくして読めない感動の物語に定評のあるスカーレット・ウィルソンが贈る、作家競作2部作〈しあわせの絆〉の第2話。アン・フレイザー作の第1話『財閥富豪と孤独な聖母』のヒロイン、オリヴィアのお腹のなかの子をめぐる問題の裏で起きていた恋と煩悶の物語!