今や巨大な産業となった塾業界。その初期、一人の男がマンションの一室から始めた塾はやがて全国区の大手進学塾に成長。しかし、巨大化していく裏で確実にひずみは大きくなっていき、自分が産み育て上げてきた塾との別れは刻一刻と近づいていた。1970年代初期、学校以外の学びの場といえば、学生が個人宅で指導するようなものばかりで、塾は産業として確立されていなかった。そんな中、塾が秘める大きな可能性に人生を懸けた男がいた――。「塾をやらないか。子どもはどんどん増える。千載一遇のチャンスだ」が口癖だった男の読みは当たった。その後進学ブームは過熱し、始めた塾はやがて2つ、3つと増えていき、全国区の大手進学塾に成長。ついに上場を果たす。失職、離婚、病との闘い……。すべてを失った男に残ったものは、学びに秘められた希望だけだった――。大手学習塾を創業し、日本に塾業界を作ったある男の波乱の半生を描く感動の大作。