武士の剣術と商人の金策との一騎打ち!大坂一の唐物問屋から柳生家の勘定方となった淡海一夜。当主の柳生但馬守宗矩から百石を毟り取り、江戸屋敷で働きはじめたのはいいが、ずさんな帳面を渋々あらためる毎日だ。しかも、足し算引き算も満足にできない武士たちに辟易するなか、伊賀忍の佐夜を女中として送り込まれ、さらには勘定方の差配まで任される始末。そのうえ、温かい飯をろくに食べる間もなく、柳生家出入りの大店と商談しなければならないのだ。家中の者と出入りの商人がしていた、いい加減な取引に呆れながら、一夜は大鉈を振るう。一方、老中の堀田加賀守正盛は嫉妬心を剥き出しにし、柳生の国元に暮らす柳生左門友矩を的に密命を発した。また他方では、一夜の祖父・淡海屋七右衛門が、一刻も早く孫を取り戻すべく、柳生家を脅かす秘策を練る。三代将軍の家光までもが、ついに底意を露わにし、宗矩はさらなる危機に陥ってしまい……。果たして一夜は、柳生家を立て直せるのか?修羅場の痛快時代小説、シリーズ第三弾!