可憐な容姿を持ちながら苛烈な存在感を放つ王子サイ。<br />日本人の母を持つ為に王族として冷遇される彼は、静かな眼差しで自分を見つめる罪人ジンを側に置いた。<br />サイの父を殺めながら、決して歪まず跪かない…面白い男だと思った、ただそれだけの筈だった。<br />一戯れのように傍らに置く彼の存在は、誰にも許したことのない心の領域を侵し、その腕を振り払うことも遠ざけることもできなくなる。<br />いつしかサイは、この男の心が欲しいと願うようになり―。<br />