実際、この頁を埋めることさえ僕にとっては大仕事である。<br />毎月毎月、締切りの一週間も十日も前から、寝ても覚めても一本のエッセイのことを考えて苦悩を味わい、それでどうにかこうにか書き上げては乗り切っている。<br />そんなふうだから別の仕事にまで手がまわらない。<br />(本文より) 小説家であるゆえの喜び、悲哀、そして葛藤。<br />淡々と過ぎゆく日常を描く名随筆。<br />