滅びの季節に《花》と《獣》は
――それは、永久の別れなのか。
《天子》の襲来からスラガヤを護り抜いた末、《銀紋》の力を使い果たした二人。
肉体は限界を迎え、《貪食の君》は深き眠りに就く。
もう一度クロアを抱きしめたいという、淡く切なる願いと共に。
独り取り残されたクロアは、朽ち滅びた地下街エルラムで、《銀紋》を持たない謎の集団に囚われていた。
一方スラガヤでは、クロアを聖女の再来と謳うリリアン教が街の変革に動き出す。
滅び行く世界の歩みは、もはや止める術もない。
しかし二人に待ち受ける過酷な運命は、古き二つの記憶を呼び起こす。
かつて一人の青年が手にした幸福と悔恨、一人の少女が残した想いと希望。
その果てに、三百年の月日を超えた一つの奇蹟が蘇る。
異形なる恋物語、その結末は。
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