半年前、あの荷物を受け取っていなかったら。<br />余計な同居人にも、襲いかかる刺客にも悩まされることはなかっただろう。<br />恋をすることも、その相手を守るために人を斬ることもきっとなかっただろう。<br />それまでのように、一人静かな毎日を過ごせていたに違いない。<br />しかし――それでも伊織は思う。<br />自分とクリスは出会うべくして出会ったのだと。<br />たとえ向かう先が’妖精の書’の残酷な導きだとしても、必ず家族を守ってみせると――。<br />伊織とクリス、最後の物語。<br />