前著紀行篇が、自然への讃歌とすれば、これは自然を通しての人生への讃歌といえる。<br />わが国山岳エッセイ第一人者としての全貌を遺憾なくしめす名著。<br />著者の山に対する愛情の深さは、ここにおさめた30篇の底を暖かく爽やかに流れている。<br />飛ぶ雲、輝く樹林、山の稜線、湖沼それらへの著者の思慕は、宗教的にまで高められている。<br />