「タイトルを全て失ったとき、私はそれまで持ち続けていた誇りを、いったん将棋の神様に返上した。<br />中途半端な誇りなら、持っていても仕方ない。<br />タイトルにこだわるあまり、私は自分を見失っていたのだ。<br />」平成八年二月、羽生七冠王誕生の陰で「屈辱」そのものを味わった谷川浩司。<br />だが、無冠となったこの日から、谷川の新たな挑戦が始まる。<br />ゼロの中から無心となって十七世名人を掴んだ男の不屈の復活物語。<br />