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右の心臓

少女の目線で戦後を描いた幻の自伝的小説。
「戦争が終ってからずっと父さんは内地の話をしてくれた。
あぐらの中にタダシをすっぽり入れて、ヒロシと私は父さんにぐてりと寄りかかって、兄さんは、父さんの前にかしこまって坐って、みんなシーンとして父さんの口を見ていた」――中国からの引き揚げ。
父さんの伯父一族が住む山梨の田舎での貧しいがエネルギーに満ちあふれた生活を、あくまで少女の目から描いた自伝的小説。
小さな共同体の中の子だくさんの家族、昭和20年代の日本の原風景が丸ごと裸のままで立ち上る。
「心臓が右にある」最愛の兄の死の描写は、この作品のハイライトだ。
「もう死んだから下着もパンツもはかせないのか。
いやだなあ、とわたしは思った。
パンツぐらいはかせればいいのに」*本作は1987年から88年にかけて「図書新聞」に連載され、88年10月に(今はない出版社)リブロポートから刊行された。
絵本作家佐野洋子が初めて書いた長篇小説である。
数々のエッセー集で繰り返し描かれてきた「家族」がほぼそのまま登場する自伝的な小説といっていいだろう。
この幻の作品が文庫化され再び世に出る意味は大きい。
解説:岩瀬成子(児童文学者)




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