考える葦
文学とは、芸術とは、社会とは、「生きる」とは、何か――作家生活二十年の平野啓一郎。
『透明な迷宮』『マチネの終わりに』『ある男』執筆時に、作家は何を考えてきたのか。
文学、思想、美術、音楽、エンタテインメントから社会問題まで、広範なテーマに亘る六十七篇の論考を集成した、待望の最新批評・エッセイ集。
「私たちは、今日、巨大な世界との対峙を余儀なくされている。
なるほど、個々には葦の一本に過ぎまいが、しかし、決して孤立した葦ではない。
古今東西に亘って、たくましく繁茂し続けている一群の葦であり、宇宙を包み込むのは、その有機的に結び合った思考である。
」(「後書き」より) (収録作品)I私達自身のような「夭折の天才」――ドナルド・キーン『石川啄木』愛に翻弄された父と子、そして女――フランソワ・モーリアック『愛の砂漠』「気持ち悪い」文学の最高峰――小島信夫『城壁』森鴎外「鶏」――アンケート:「美しい日本語」とは何なのか?「「愚」と云ふ貴い徳」の弁護人――谷崎潤一郎『細雪』の妙子――アンケート:谷崎潤一郎名キャラ図鑑傑作群の底に流れていたもの――谷崎潤一郎「創作ノート」混沌を秩序化する技術――三島由紀夫『小説読本』木乃伊にならなかった知の木乃伊取り――澁澤龍彦個人の一生と人類の罪――追悼・林京子思い出すことなど――瀬戸内寂聴「否定性」と「私ら」――大江健三郎「稔りの飽和」の静かな重み――古井由吉『ゆらぐ玉の緒』疾駆し、「ゆきき」する若き詩人――吉増剛造『GOZOノート 1 コジキの思想』人間を知っている作家――キム・ヨンスアーレントの「反ユダヤ主義」を読みながら情報に’勝ち負け’はあるのか?――レジス・ドブレ『メディオロジー宣言』昭和プロレスの’リアリティ’俯瞰と没入――菊地信義『菊地信義の装幀1997~2013』’我が事’としての西洋政治思想史――小野紀明『西洋政治思想史講義――精神史的考察』〈顔〉で向かい合う自己と他者――鷲田清一『〈ひと〉の現象学』テロと昭和――中島岳志『血盟団事件』II初めて小説を書いた年齢未来には絶望しない――『ドーン』を振り返ってあなたといる時の自分――アンケート:I Love You. の翻訳は?一区切りついた、という実感桜の中で、時が重なり合う自分を解釈してもらう喜び――オーダーメイドについて出版激動期の「文学と金」飯田橋文学会縁起文士劇出演顛末フランスと私
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