あたしたちよくやってる
誰かの期待に応えられなくても、無理して笑うのは、もうやめよう。
女性と年齢、結婚、ファッション、女ともだち――さっきまであった自信なんて、いとも簡単に吹き飛んでしまう毎日を果敢に生きる女性へ贈る「自分とは何か」を思索する短編+エッセイ33編好きなように生きてるだけで、苦しい。
自分らしくあろうとするだけで、なにかと闘うことになる。
男とも、女とも。
どうしたって人生を踏み外せない常識人である彼女は、決心がつかないままこの場にとどまりつづけているけれど、なにかに憧れたり、なにかになりたいと思う気持ちだけはいまだに燻っている。
それで、居ても立ってもいられず、しかしなにをしたらいいかもわからず、ときどきサンマルクカフェで一心不乱に英語の勉強に励んだりした。
(「われらのパリジェンヌ」より)これでも昔は、「変わってるね」って言われることを、喜ぶような女の子だった。
みんなと同じなのは我慢できないタチだった。
「個性的」という言葉は勲章だった。
その先に、未来は無限に広がっていると信じていた。
でもいまやあたしは、気まぐれで突飛な衝動を抑え込んで、取り澄ました顔で彼氏の横に立っている。
地方新聞社に勤めてるなんて田舎じゃ優良物件だし、けっこうカッコいいし、いい人だし。
そしてあたしは、もう二十八歳だ。
(「How old are you?」より)
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