珈琲が呼ぶ
写真と文章で綴られる、珈琲がある日常についての考察と記憶の断片。
だからコーヒーそのものは語られない。
「珈琲が呼ぶ」というタイトルが正に相応しい。
珈琲に呼ばれて、そこから思考を縦横に伸ばしていくエッセイというより、これは片岡義男が若い頃に量産していた、いわゆる「コラム」だ。
例えば、豆がどうした、焙煎が、淹れ方がといった話は出てこない。
どこのコーヒーが美味しいという話も当然ない。
しかし、喫茶店の椅子の話や神保町で原稿を書いていた時代のこと、コーヒーの歌の話、私立探偵はコーヒーを飲むか、「コーヒーでいいや」問題。
コーヒーが中心に、しかしコーヒーそのものが書かれる事はない名人芸のようなコラム集。
【著者】片岡義男1939年東京生まれ。
文筆家。
大学在学中よりライターとして「マンハント」「ミステリマガジン」などの雑誌で活躍。
74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。
翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。
小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。
著書に『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『日本語の外へ』ほか多数。
近著に『珈琲が呼ぶ』(光文社)、『くわえ煙草とカレーライス』(河出書房新社)などがある。
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