いいとこなんて特にない。<br />平凡きわまるぼんやり猫の「フランシス子」。<br />けれど、著者とは相思相愛だった。<br />忘れがたき存在を亡くし、自らに訪れる死を予感しながらも、訥々と、詩うように語られた優しく輝く言葉たち。<br />「戦後思想界の巨人」吉本隆明が、人生の最後に遺した、あまりにも愛おしい肉声の記録。<br />