昭和13年幸田文は離婚し、娘の玉を連れ青々と椋(むく)の枝がはる露伴の小石川の家に戻った。<br />万事に愚かさを嫌う祖父の小言の嵐は9つの孫にも容赦なかった。<br />祖父の手前蹴とばしても書初めを教える母。<br />「2度はご免蒙りたい」10年の歳月をクールにユーモラスに綴り、晩年の露伴、文の姿を懐かしく匂い立たせる。<br />(講談社文庫)