父親の犯罪から一家離散し、十五歳から独り東京を流浪。<br />その途次で出会った藤澤清造。<br />芝公園で狂凍死したこの大正期の私小説作家に傾倒し、’歿後弟子’となった西村賢太が綴る’師’の孤影と残像。<br />交感する魂の響き。<br />さらに下町、江戸川の畔に生まれ育った著者が、東京という自らの<故郷>について語る、「小説現代」誌の名物連載エッセイ「東京者がたり」を合わせ、二人の私小説作家、二つの時代、二人の人生を、横断的に描き出す名随筆集。<br />