「家から一歩外に出れば旅だ」と考えるヘンリー・ミラーに共感し、自分の住む都会を歩きまわる中で、すばらしい旅や風景を発見する、と語る著者の姿勢には、作家らしい感受性と想像力の重視がうかがえる。<br />そのほか、幼少時の思い出、交遊、文章観、身辺雑記などを綴り、吉行文学の基盤をあきらかにした、卓抜エッセイ集。<br />街角の煙草屋まで行くのも旅。<br />角度を変えて見えてくる風景。<br />独特の人生感覚あふれた文章!