「いったい涼しげというのは、すっきりと線が立っている趣をいい、すっきりとは或る鋭さを含んでいるとおもう。<br />……。<br />げというのは力量である。<br />」(『回転どあ』「あじさい」)――父・幸田露伴の思い出を綴った文章で世に出た著者は、東京下町・向島に生まれ育った。<br />気性の激しさ、繊細鋭利な感性、強靱な文体で身辺を語り、日々の発見を精妙に記す。<br />庶民生活を清新に描いた、単行本未収録エッセイ101篇。<br />