父・露伴が重態の床で教えてくれたのは、「母の座」というもの。<br />家事雑用、浮世談義、自然への手引きに、一生残るような教えをしてくれた父。<br />胸にまいた古い種が発芽し、奔走した塔の再建、木や荒涼とした崩れへの思い入れなど、晩年の心境を、研ぎ澄した五感が映す、心にしみる58篇。<br />幸田文の息吹きを伝える随筆集。<br />