「男と女のなかには距離がひそむ。<br />親子のあいだにも寸法は残されている。<br />駅も距離だし、国も距離だし、ことばも距離だし、風も著物も距離だ」(『駅』「さとがえり」)――男と女の縁、夫婦、親と子、幼な友達、嫁と姑。<br />ささやかな日常の中に人生の機微を掬い取り、鮮やかに命を吹き込む、幸田文の強靱な感性。<br />連作的随筆『駅』の12章と小説『栗いくつ』を収録。<br />