台所のおと 新装版
台所からきこえてくる音に病床から耳を澄ますうち、料理人の佐吉は妻のたてる音が変わったことに気付く。
日々の暮らしを充たす音を介して通じ合う夫婦の様を描く「台所のおと」のほか、「濃紺」「草履」「雪もち」「食欲」「祝辞」「呼ばれる」「おきみやげ」「ひとり暮し」「あとでの話」を収録。
鋭く繊細な感性が紡ぐ名作集。
なにげない日々の暮しに耳を澄ませ、目を配り、心を傾ける。
透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集。
女はそれぞれ音をもっているとかくあやふやに流しがちな薄曇りの感情に端然とした言葉をあてがい、作中人物に息を吹き込む。
幸田文による人間観察の手つきについて考えていると、江戸川乱歩とのある対話が脳裏に浮かんできた。
――平松洋子(解説より) 新装版に寄せて、青木奈緒によるエッセイも収録
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