その肉体には個性がある――胡蝶蘭に囲まれた鏡台の手前、そこには素肌にローブを纏った名優の姿があった。<br />『ぼく』は初めて坂東玉三郎の楽屋を訪ねる。<br />多忙な日々を過ごしつつも、迷いの真っただ中にあった作家は、この運命的な出会いを契機に、歌舞岐脚本への挑戦を企てる。<br />そして、復活。<br />迷いの中から、書くことによって抜け出していく足かけ7年間の「私」語り。<br />オリジナル台本「三国伝来玄象譚」を収録。<br />