自分には血のつながった兄がいる。<br />後年その異母兄を訪ね邂逅した瞬間を鮮やかに描く「兄」。<br />十歳の時に住んでいた奇妙なアパートの住人たちの日常が浮かぶ「トンネル長屋」など、まるで物語のような世界が立ち上がる――。<br />自身の病気のこと、訪れた外国でのエピソード。<br />様々な場面で人と出会い、たくさんのいのちの姿を見つめ続けた作家の、原風景となる自伝的随筆集。<br />新たに五篇を収録した完全版。<br />