船の上の自分とそれを取り巻く半球のような湿原と空は、それで一つの完結した世界のように思われはじめた。<br />世界中で日本に最も程遠い場所を探して出会ったのは、ナイル川上流の広大な湿地帯。<br />果てしない青空と生い茂るパピルスだけの’緑の砂漠’──南から北へ東から西へ、世界を旅する作家は土地の姿を見つめ、人やけものたちと出会い、口福を味わう。<br />豊富な知識に裏打ちされた、楽しく奥の深い紀行エッセー集。<br />