そうだ、高野山がある。
世界遺産である聖地「高野山」……人々は高野山へ向かう。
様々な思いを込めて。
なぜかくも多くの人々を、高野山は惹きつけるのだろうか。
おそらく私たちは、自分たちが生きている世界に欠けているものを、高野山という場所に、弘法大師空海という超人的なキャラクターに、半ば無意識のうちに、半ば本能的に求めているのだ。
消費社会で満たされないもの、お金で買えないもの。
形のないもの。
科学や技術のカバーできない領域にあるもの。
知性や理性を超えたもの。
合理的な認識や判断ではとらえそこなってしまうもの。
(本文より) 不世出の思想家〈弘法大師空海〉と山の深い神秘に導かれた小説家は、高野山を訪れる。
真言、曼荼羅、生と死、宇宙の実相、そして近代システムへの疑義についての思索を、多数の写真と共に掲載した紀行。
なお、単行本ではモノクロだった写真を、この電子版ではフルカラーで収録している。
●片山恭一(かたやま・きょういち)1959年愛媛県生まれ。
福岡市在住。
九州大学農学部卒。
1986年に「気配」で文學界新人賞を受賞。
2001年に発表された『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館)は映画化されて大ヒット、「セカチュー」と略され流行語にもなった。
その他に『きみの知らないところで世界は動く』『ジョン・レノンを信じるな』(小学館)、『死を見つめ、生をひらく』(NHK出版)など著書多数。
●小平尚典(こひら・なおのり)1954年福岡県生まれ。
写真家、フォトジャーナリスト。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
欧州を放浪後、エディトリアルカメラマンとして数多くの雑誌で活動。
1980年、新潮社「FOCUS」誌専属カメラマンとして創刊に参加。
1987年、米国ロサンゼルスに移住。
2009年に帰国後は、米国での経験を生かし、メディアプロデューサーとしても活躍。
安西水丸氏との共著『彼はメンフィスで生まれた』『アトランタの案山子、アラバマのワニ』の他、『おやさと写心帖』など著書多数。
公益社団法人日本写真家協会会員。
早稲田大学理工学部非常勤講師。
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