おしろい蝶々
昔ながらの白粉刷毛に魅入られた私が見たものは、世にも美しく恐ろしい美少年だった。
獣の刷毛に、水で溶いた白粉を滴るほどに含ませて、そいつであの手を嬲りたい。
彼の手を求めて私は……。
(「おしろい蝶々」より) 強い想い故に、異形に身を落とした少年を描いた表題作のほか、全6篇の哀しく儚い物語。
*おしろい蝶々*夜の孔雀*琅(ろう)がん物語*闇月夜*花影*亡春●加門七海(かもん・ななみ)東京都生まれ。
オカルト・風水・民俗学などに造詣が深く、怪談、エッセイ、フィールドワーク作品などを著す。
最新刊は『お咒い日和 その解説と実際』(KADOKAWA)。
小説に『目嚢』『祝山』『鳥辺野にて』など、エッセイ『猫怪々』『霊能動物館』『墨東地霊散歩』など多数。
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