浮遊する虫
この世の中には、人間の精神を食い潰す不潔で不快極まりない虫が飛び交っている。
時には人の口から言葉と一緒に、時にはいやらしい態度とともに虫が舞い、隙あらば人の脳みそに入り込んでしまう――。
大阪の建築学科に通学している大学4年生の隆介は、高校時代から付き合っていたアイと別れてしまう。
別れをきっかけに情緒不安定な生活を送る隆介だが、アルバイト先の設計事務所で才能を開花させていく。
しかし周囲の人間たちは隆介の才能に嫉妬し、挙句の果て、若い芽を潰しにかかる。
隆介は極度の嫌がらせに抵抗するが、しだいに設計への情熱と生きる意欲が薄れていく。
いつしか隆介のまわりに大量の虫がはびこってしまう。
大学を中退し、下流社会を生きていく若者の、逃げ場のない陰鬱な世界を描いた物語。
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