現実と妄想の狭間
橘司はふと目覚めると真っ暗な部屋の中にいた。
手足を拘束され、身じろぎすると体に激痛が走る。
そこは精神科の保護室だった。
十九歳という最年少で公認会計士の資格を取得、以後、会計事務所や監査法人で実務経験を積み重ねてきた。
時に人間関係に悩みつつも真っ当に歩んできたはずが、勤務先が反社会的勢力と繋がっているのではと強い疑念を抱いたことから精神の均衡が破れ、奇矯な行動に走って警察に捕らえられた挙句、「統合失調症」と診断されて入院となったのだった。
心を病む他の患者たちとの交流の中、正とは、悪とは何か、自分には何か特別な力があるのだろうか、などなど、千々に思い乱れる日々が続く。
現実と妄想の狭間で揺れ動きつつ、自身の病と向き合った一人の青年の貴重な記録。
<目次>混乱と静寂の狭間疑念と焦燥の狭間安静と試験の狭間精神と神々の狭間あとがき<著者紹介>1988年11月4日埼玉県生まれ。
高等学校は商業系の学科に進学し簿記を学び、公認会計士を志し専門学校へ進学する。
19歳の最年少で公認会計士試験に合格。
税理士法人で税務業務、監査法人で監査業務、事業会社で会計業務を経験。
26歳の時に統合失調症を発症。
月に一度、通院し筋肉注射治療を行っている。
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