満州で戦禍に巻きこまれ、命からがら日本へ引き揚げてきたヒコベエ一家は、信州諏訪に身を寄せる。<br />なだらかな稜線を描く山や緑深い自然に囲まれ、ヒコベエは腕白坊主に成長する。<br />やがて一家に訪れた転機。<br />母の小説がベストセラーになり、父も作家の道を歩み始め……。<br />貧しくとも家族は支え合い励まし合って暮していた。<br />日本そして日本人が懸命に生きた昭和20年代を描く自伝的長編。<br />