あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。<br />魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。<br />自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。<br />恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。<br />最後の最後に、私が彼を欺くその日まで──。<br />一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。<br />渾身の異色作。<br />