デビュー戦を初回KOで飾ってから三敗一分。<br />当たったかもしれないパンチ、これをしておけば勝てたかもしれない練習。<br />考えすぎてばかりいる21歳プロボクサーのぼくは自分の弱さに、その人生に厭きていた。<br />長年のトレーナーにも見捨てられ、変わり者のウメキチとの練習の日々が、ぼくを、その心身を、世界を変えていく――。<br />《第160回芥川賞受賞作》。<br />