映画にまつわるXについて
読み逃せない40本! 2011年に浮かんだひとつの思いが、西川美和監督の長編第5作『永い言い訳』に結実し、16年秋、公開された。
本書は、小説を先行して執筆し、そこから映画の脚本が生まれ、オーディションや撮影、編集などさまざまな工程を経て公開されるまでの約五年の日々の思いを綴るエッセイ集。
スタッフや俳優たちとの人間関係、是枝裕和監督との新事務所設立などにまつわるエピソード。
撮影期間中に「開始二時間でネジがぶっ飛ぶ五歳児」、「獣のような七十五歳のカメラマン」、「自意識のマトリョーシカ人形」のような主演俳優などに囲まれながら苦闘した日々。
西川監督がひとつひとつの出来事をどう感じ、どう向き合い作品を完成させたのか。
ここでしか読めないエピソードばかり。
新聞や雑誌に掲載された、小説や書評・映画評、学生時代の思い出や食についてのエッセイなども併録した人気エッセイシリーズ第2弾! 二〇一五年四月。
私は頭を抱えていた。
調子がまるで狂っていた。
自分がおかしい。
こんなはずじゃない。
――こんなにも自分が信じられなくなった経験は、監督になって以来初めてだった。
(本文より)
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