五銭で買った「レントゲン」、父から寄宿舎へ届く候文の手紙、教練でとった通信簿の「でんしんぼう」、匍匐練習中になくした万年筆、恩師と食べたまんじゅうの涙、若くして戦争で亡くなった友だちのこと――ものを書くようになってから五十年。<br />その間、ずっと文章のなかで’私’を使わないよう心がけてきた著者が、思い出すまま綴った少年記。<br />