この頃、電車で席を譲らなくても気が咎めなくなった。<br />志ん生晩年のかすれ声に涙を流す。<br />角栄に義憤を感じつつも父の面影を重ねる。<br />――『男性自身』で大好評を博した著者が「最初の随筆集」と断じてはばからぬ珠玉の自選名文集。<br />