月刊 睡蓮みどり×樋口尚文 キネマトグラマー SCENE.3
女優にして映画コラムニストの睡蓮みどり。
映画評論家にして映画監督の樋口尚文。
この濃厚な映画愛で出会ったふたりの、共犯的フォト×シネコラム。
名づけて「キネマトグラマー」。
映画=シネマトグラフと、肢体も思考もグラマラスな睡蓮みどりを掛けて、樋口監督がシリーズタイトルを命名。
睡蓮みどりの可憐な笑顔とセクシーな肢体をモチーフに、樋口監督のカメラが数々の映画のヒロインたちにオマージュを捧げ、睡蓮みどりが読み応えあるシネコラムでヒロインたちの魅力を讃えます。
海辺のヒロイン、着物のヒロイン、映画館のヒロイン、読書するヒロイン、食べるヒロイン…さまざまな女優愛が「月刊」で限定ロードショー!【樋口監督の撮影後記】新年も迎えるので睡蓮さんと振袖でキネマトグラマーを撮りましょうと思い立った時、舞台は問答無用であそこにしようと鎌倉の釈迦堂切り通しに向かいました。
そこは私も睡蓮さんもこよなく愛する映画『ツィゴイネルワイゼン』の舞台で、三十年くらい前も私はそこでインディペンデント・フィルムを撮影していました。
しかしここは近年の大雨による崩落で行き止まりになっていて、手前の坂道も木立が崩れて来る者を寄せつけない惨状でありました。
足元の岩も湿ってぬるぬると歩き難く、そんな険しい道なき道をひときわ華やかな振袖の睡蓮さんが果敢に分け入っていくのを、案内してくれた運転手さんははなはだ不思議な面持ちで見送っておりました。
ちなみに後半の洋館は鎌倉文学館で、これも『ツィゴイネルワイゼン』の舞台です。
もうひとつ振袖といえばぜひボブで、という設定も無言のうちに決まっていたのですが、私の秘めしオマージュは和服ボブ映画の決定版『西陣心中』、その妖艶なるヒロイン・島村佳江に捧げられています。
そんなもはや観ている人も少なかろう異色篇を、また若き睡蓮さんがとうに観ていてずっと愛玩していたというのは、大いなる驚きでありました。
そのゆえの阿吽の呼吸で『西陣心中』を思うポージングをお願いしたのは、鎌倉最古の名刹・杉本寺で、ここは澤井信一郎監督、原田知世主演の佳篇『早春物語』の舞台でもあったのをふと思い出しました。
そういえば第一回「海辺のヒロイン」での白浜でも台風による土砂崩れの現場に遭遇して背景としましたが、このたびの崖崩れ現場といい、われわれが出会う「崩落地帯」には、なぜともなく映画的なヒロインが似合います。
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