ゼニは、人間にとって便利な道具である。ゼニがあれば、人間はなんでもできる。自分のどんな欲望でもかなえることができる。僕は、人間というのは、はなはだうさん臭い生き物であると思っている。人間なんて巨大なゼニの力があれば、なにをやりだすかわかったものではない。しかし、ゼニがなければ、人間は悲惨である。人生は暗黒で、将来にはまったく希望がもてず、自分で自分自身を卑下し侮辱するようになる。人生というものは、金がなければ、どうしても苦労がつきまとう。金に困って、借金をすれば、そこから人生の苦闘がはじまる。金のことで悩み、困惑し、狼狽し、煩悶し、疲労し、消耗し、やがては、犯罪、夜逃げや自殺にまで発展していく。これは、何百年も昔から、人間が繰り返してきた永遠不滅のドラマなのだ。この本は、漫画に描ききれなかった僕の真実の声である。実は、『ナニワ金融道』よりも、書きたいテーマだったと言ってもよい。人間は、狼にもなれる、鬼にもなれる摩訶不思議でうさん臭い生き物である。そんな人間がつくり上げたこの資本主義の社会も、実にうさん臭い。そこのところを、しっかりと見極める目をもって、生きていこうやないか。▼目次第1章 ゼニという名の生き物第2章 日本国民はビンボーである第3章 裏を読めない人間は滅びる第4章 ‘神’は人類最大の妄想や第5章 人間は闘争せよ!