2014年12月刊行『柳宗悦も賛美した謎の焼絵発掘』の改訂新版です。 初版刊行後に、(1)江戸・明治期以降にも焼絵を描いた人物がさらに見出されたこと、(2)江戸期になぜ、焼絵が再興・復興を遂げたかの謎に辿り着けたこと、(3)文献上に掲載されていたが行方不明の焼絵が発見されたこと、(4)日・中・韓の他に、ロシアとインドネシアの焼絵の調査ができたこと、(5)焼絵画法は異なるが、途切れなく継続し連綿と焼絵が描かれていること、を補遺するため、新資料、作品並びに補足・加筆を含め関係機関と各位の協力で、文字の組み方を変え、判型も大型化し、全面的に改訂を行いました。 焼絵とは、金属性の鏝、火箸などを熱して紙、絹、竹などに絵画、文字を描くものの総称で、現在ではあまり知る機会が少なくなりましたが、その歴史は古く、中国、朝鮮、日本では1000年も前から行われていました。 その証拠に我が国では、国学者の林亀瑞や、屋代弘賢の記述『聚遠雑記抄附焼絵考』が宮内庁書陵部にあり、日本書紀、平家物語、盛衰記などにも焼絵の記述が確認できます。 また、譜代大名、国学者、狩野派の絵師、京都四条派、浮世絵師なども焼絵を描いていました。 本書では、古典籍の分野から見た日本の焼絵の歴史を辿る資料として、その価値を検証するため全文を掲載。 その他、江戸時代に実在した焼絵作家の活動や、世界の焼絵の歴史をわかりやすく解説、焼絵の魅力を一冊に凝縮した決定版になっています。 さらに現役で活躍する美術博物館学会員、書道家などの未発表論文を収録している点も本書の大きな特色のひとつで、美術史を志す学生はもちろんのこと、絵画研究のプロにも役立つ内容です。